公開講演会「紛争後社会における集団墓地調査と法医学の役割~M.ジュリッチ博士をお迎えして」
INFORMATION
紛争地、あるいは紛争後の社会における法医学の役割は、近年大きな変貌を遂げている。大規模な人権侵害や武力紛争地で発見されるMass Graves(集団墓地、集団埋設地)の捜索や発掘?調査において、かつて法医学の焦点は遺体の身元確認であった。近年においても、遺体?遺骨の身元の確認は、死者にとって、また残された遺族や地域コミュニティにとって、最重要の課題であることに変わりはない。しかし、同時に、現代の紛争地や紛争後の社会における集団墓地の調査では、平和構築はもとより、中核犯罪(ジェノサイド罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪)を裁く刑事裁判のための証拠の収集、集団墓地の形成につながった出来事の真相究明や状況の再現が、重要な目的となっている。
このような変化の先駆けとなったのが90年代の旧ユーゴ紛争である。講演者のマリア?ジュリッチ教授?博士は、過去20年にわたり、バルカン半島で広範なフィールドワークを実施し、国際行方不明者委員会(ICMP)、ネクロサーチ?インターナショナル(Necro Search International Inc.)、赤十字国際委員会(ICRC)など数多くの国際組織?機関と協力して戦争犯罪の捜査に貢献してきた。本講演では、ジュリッチ教授の経験から、近年の法医学の傾向とともに、集団墓地の発掘調査における原則や方法、国内の法的枠組みや捜査慣行と国際的な法的基準の適合の課題についてお話いただく。
なお、本講演会は、社会デザイン研究所の「大規模自然災害及び戦争?紛争?重大な人権侵害による大量?多数遺体の処置に関する研究」の一部である。
講師
セルビア共和国ベオグラード大学医学部人体解剖学教授
Marija ?juri?(マリア?ジュリッチ) 氏
1983年ベオグラード大学医学部卒(MD degree, School of Medicine, University of Belgrade, Serbia)、1988年ベオグラード大学外科解剖学修士(M.Sc.(Surgical Anatomy), School of Medicine, University of Belgrade, Serbia)、1991年ノヴィサド大学医学部医療人類学博士Ph.D.(Physical Anthropology),(School of Medicine, University of Novi Sad, Serbia)。
ジュリッチ教授は1998年以来、セルビアにおける法医学人類学の先駆者として活躍、人類学の専門知識を活かし、学際的な法医学チームの一員として、集団墓地の発掘、遺骨の人類学的分析、被害者の身元確認などに参加している。またベオグラード大学では、生命人類学という分野を導入し、1995年前に人類学研究所を設立、同研究所は後に国立研究センター(骨生物学センター)へと発展し、ジュリッチ教授は現在も同センターを率いている。また、ベオグラード大学医学部に、生物人類学、法医学人類学、骨のバイオメカニクスを専門分野とする、骨格生物学の学際的な博士課程を設立し、後進の育成にも尽力している。関連する著作?論文多数。
詳細情報
名称
対象者
申し込み
主催
共催
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社会デザイン研究科教授
長 有紀枝
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